NI半導体テストシステムにより、コスト削減に成功したIDT社

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"STSは、高まる性能要件に応じ、テストプラットフォームを再構成して拡張したいというニーズに対応可能な柔軟性を備えています。"

- Glen E. Peer, Integrated Device Technology Inc.

The Challenge:
半導体デバイスの性能が向上するに従い、ATEシステムが陳腐化するまでの期間は短くなり、すぐに能力の限界に達してしまう。このことがテストコストの高騰を招く大きな要因になっている。目まぐるしく変化する環境下で、高まり続ける性能要件に対応可能なテストシステムが必要になっている。

The Solution:
NI STS(Semiconductor Test System:半導体テストシステム)のオープンなPXIアーキテクチャを活用し、必要な柔軟性と、高まる性能要件に応じてテストプラットフォームを再構成/拡張する能力を確保する。一般に、テストシステムの世代が進むと多大なコストをかけて設備を一新する必要があるが、従来のATEシステムに対する投資を無駄にすることなく、それを基盤として拡張が行えるようにする。

Author(s):
Glen E. Peer - Integrated Device Technology Inc.

筆者が所属するIDT(Integrated Device Technology)社は、低消費電力品から高性能品に至るまで、さまざまなミックスドシグナルICのソリューションを構築しています。タイミングデバイス(クロックIC)の世界的リーダーとして、ネットワーク、通信、民生、コンピュータといった分野を対象とした広範なポートフォリオを提供しています。

IDT社のICは、継続的に性能の向上を果たしています。それに伴い、製造テスト(出荷テスト)の環境において、そのスループットを維持するのはますます困難なことになりつつあります。私たちが求める高度な計測要件を満たす従来型のATE(半導体試験装置)は非常に高価です。しかも、従来型のATEは実際には使用しない余分な機能を搭載していることから、無駄なコストの増加につながっているケースもよくあります。また、従来型のATEを使用する場合、装置をアップグレードしてパフォーマンスを改善するには、次世代のテストプラットフォームへのアップグレードと、現行プラットフォームの段階的な処分が必要になります。これはコストがかかるだけではなく、効率の悪い方法だと言えます。それまでに行ったエンジニアリング面の投資の大部分が、無駄になってしまう可能性があるからです。

こうした問題に対し、通常、私たちは購入したテストシステム上に独自のソリューションを構築することで対処しています。これまでに、あらゆるATEベンダーのさまざまな製品を使用した経験から、私たちは、コストを管理し、計測機能を強化しつつ、ATEプラットフォームの有効寿命を延伸させることに長けているという自負があります。

テスト環境の進化

IDT社のタイミング製品事業部門では、上述したアプローチをまさに体現するかたちでテスト環境を進化させています。私たちはまず、高価な商用のATEシステムを導入しました。その後の早い段階で、このアプローチではコストがかかりすぎることに気づいたため、当社独自のテストシステムを構築しました。社内で開発したシステムは、私たちが求める高度な性能要件を満たしていましたが、商用プラットフォームを利用することのメリットの一部が損なわれるという欠点も抱えていました。例えば、高い並列性を実現したり、サポートを得たりといったメリットを享受できないということです。そこで、私たちは2つを組み合わせたハイブリッド型のアプローチへ移行することにしました。すなわち、安価な商用ATEシステムと性能を向上させるための独自の拡張システムを組み合わせるということです(図1)。

図1. 市販の安価なATEシステムと独自の拡張システムを組み合わせる。

この手法はうまく機能しました。しかし、しばらくするとハードウェアが古くなり、ATEの置き換え、つまりはシステムの再設計が必要になりました。また、このハイブリッド型のアプローチは、エンジニアリングとパフォーマンスの観点からは優れていましたが、必ずしも量産製造に適したものではありませんでした。一般に、エンジニアリングの観点からATEシステムに新たな拡張を外付けで追加すると、そのシステムは量産製造には対応しにくいものになります。ケーブルやハードウェアに加え、時には膨大な電子部品が実装されたDUT(被測定デバイス)ボードをATEシステムに追加することになり、量産環境において障害の発生原因となり得る個所が増加してしまうからです。

最も理想的な解決策は、オープンなアーキテクチャを採用するテストプラットフォームを構築するか、購入することです。そうしたプラットフォームであれば、高価な大型ATEに対して外付けで拡張を行ったり、再投資を行ったりするのではなく、それまでに行った投資をシステム内で活かすことができます。 私たちには、ハードウェアの陳腐化に対応し、技術の進歩に伴って刷新することが可能なアーキテクチャが必要でした。NI半導体テストシステム(STS:Semiconductor Test System)は、まさにそのようなアーキテクチャを備えるソリューションでした。

NI STSのPXIプラットフォームは、上述した問題を解決するうえで最適なものでした。このシステムは、テスト装置のメインフレームの中に複数のPXIシャーシを備えることによって機能拡張に対応します。このことから、ユーザはテスト装置そのものの内部でテスト用の機能を拡張したり追加したりすることができます。オープンな規格であるPXIにより、単一のATEベンダーが提供する限られた製品だけでなく、多くのベンダーの計測器をニーズに応じて選択する自由がユーザにもたらされます。

NI STSは、言うなればIDT社のテスト装置が進化する先に自然なかたちで存在していました。これは、私たちにとって非常に都合の良いことでした。NI STSにより、性能面での目標を満たすために必要なモジュールやコンポーネントのみを使用して、高性能で低コストのテストプラットフォームを継続的に構築すること可能になります。NI STSがオープンなアーキテクチャを採用していることによって、このようなことが容易に行えます。

IDT社はNI STSを導入してから1年の間に、テストのニーズの高度化に合わせて、すでに当初のシステムの構成に対して拡張を施しています。初期の段階では、慎重に計画を立てることが必要でした。しかし、そのような複雑な拡張を行ったのにもかかわらず、システムにおいて当初ターゲットとしていたソリューションとの間で100%の後方互換性を維持できています。IDT社全体にわたってより広い範囲で使用できるようにテスト装置を拡張する中で、私たちは初期投資のすべてを維持することができました。

NIのソリューションを採用するメリット

私たちは、NIのソリューションを採用したことにより、多くのメリットを得ることができました。まず、それまでのハイブリッド型のアプローチとは異なり、テストヘッドを統合することが可能になります。それにより、製造現場において障害の発生個所となり得るポイントの削減、保守と修理により生じるダウンタイムの短縮、設置面積の縮小が図れました。また、このシステムではインタフェースボードの交換が可能であり、同じ構成のテスト装置によって異なる種類のデバイスのテストが行えるようになりました。加えて、構築したのはハードウェアを最適化するための高精度な性能パラメータを備えた真の並列テストシステムであることから、それを複数のサイトに設置することでテストのスループットを高めることができます。さらに、このソリューションでは、ほかの統合型のソリューションよりもコストを低く抑えられます。構築する必要があるのは単一のシステムであり、異なる複数のシステムの保守を行う必要がなくなったからです。

将来に向けた拡張

IDT社の製造テスト施設に設置されたNI STSは年中無休で稼働しています。テストの実行時間は10~25%短縮し、計測の能力と精度が向上して、設置スペースも削減できました。すなわち、新たなテスト装置は格段に製造テストに適したものになりました。NI STSを採用することで、テストのスループットが高まっただけでなく、サポートや保守が困難な旧来のテストシステムを処分して全体的なテストコストを削減することができました。旧来のシステムの中には、電力要件や冷却要件の面でコストがかかるものもありました。それに対し、NI STSであれば追加の設備を必要とすることなく、110 Vの任意の電源コンセントによって給電することが可能です。旧来のシステムでは、単位時間当たりのテストコストが、1台につき最大でNI STSの2倍もかかっていました。また、NI STSは高性能な計測機能を提供し、複数のテスト施設をまたがる真の並列テストの実行を可能にします。このことから、テストコストのさらなる削減を図ることができます。

NI STSは拡張可能なテスターファミリであり、PXIシャーシをそれぞれ1つ(STS T1)、2つ(STS T2)、4つ(STS T4)備えるモデルが提供されています。私たちはまず、アップグレードと拡張を想定し、STS T2をベースとして設計を行いました。ニーズに応じてテストプラットフォームを拡張できることが、STSの1つの大きな強みです。従来は、社内の事業部門間でテストシステムを共有するのは困難または不可能でした。それに対し、現在はほかの複数のチームにNI STSの評価を行ってもらっている状況にあります。テストに対する各チームの要件は、現時点では私たちのシステムが前提としている要件とは異なります。しかし、PXIプラットフォームのオープンなアーキテクチャにより、各チームは、製造現場で既に実績を有する私たちのシステムに対して、それぞれに必要な機能を追加することが可能です。

すべての状況に理想的に対応できる単一のATEプラットフォームというものは存在しません。しかし、私たちは今回初めて、インタフェースボードや内蔵する計測器モジュールを簡単に交換することによって、複数の事業部門で再構成/再利用することができるATEプラットフォームの可能性を見出すことができました。NI STSにより、1つまたは2つのシステム構成を定義し、それらのシステムを製造テスト施設に設置して、社内のあらゆる事業で生じる多様なニーズに対応できるのではないかと考えています。NI STSを利用した私たちのシステムは、インタフェースボードを簡単に交換することにより、必要に応じてさまざまなハードウェア構成をとれるように設計されています。このことによって、テスト業務全体を大幅に簡素化し、テストの総コストをさらに削減することが可能になるでしょう。

私たちは、大型ATEのベンダーと、そのハードウェアが陳腐化するサイクルから解放されました。そして、全般的なニーズに基づいて、最良のテスト戦略を決定できるようになりました。テスト用のハードウェアとソフトウェアに対する現在/将来の投資は無駄になることはありません。それらは、今後長きにわたって再利用することが可能です。

 

図2. 拡張が可能なテスターファミリであるNI STS

図3. IDT社の製造施設内でテストに使用されているNI STS

図4. 伝播遅延の再現性テストの結果

図5. 出力スキューの再現性テストの結果

 

Author Information:
Glen E. Peer
Integrated Device Technology Inc.

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