cRIOを採用しより実車に近い模擬を実現した車両運転技能教習用速度制御器の開発

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"本装置の導入により、ファンクションジェネレータでは出力出来ない様々な運転パターンや車輪の動作状態を、cRIOから波形出力する事で、より実車に近づいた技能教習を実現した"

- 平澤 啓 氏, 株式会社イー・アイ・ソル

The Challenge:
装置に接続される速度発電機が3種類あり、それぞれの出力周波数が異なること、出力波形が矩形波であったり、電圧が規定の出力を満たさなかったこと、15段階にも及ぶ加減速の制御や14種類のモード切替を手動で行うことが難しく、また1台100万弱もするファンクションジェネレータ(4出力)が8台以上必要であること、いずれ車両搭載機器を更新した際にも対応させることなどを総合的に考えたとき、当初の仕様条件を満たす機器が市場に見当たらなかった。

The Solution:
汎用で廉価にもかかわらず応用性が高い「NIの機器とLabVIEW」の組み合わせによる本システムの開発に着手

Author(s):
平澤 啓 氏 - 株式会社イー・アイ・ソル

装置概要及びNI社選定理由


本制御器は、東日本旅客鉄道株式会社の技能教習所内に設置した実機教材を、模擬的に動作させる上で必要な機器である。
一般的な電動機付客車(以下車両とする)は、車軸に取り付けてある速度発電機からの正弦波出力交流を、各制御装置や保安装置へ入力し、現速度を認識させた上でさまざまな条件(車両の加減速や緊急時の取り扱いなど)により車両速度を制御する。
開発当初は、現存車両に合わせた車体ぎ装の内容で各装置を接続し、同期させたファンクションジェネレータを用いて、各装置へ模擬速度を入力してやればよいのではと考えた。
しかし、装置に接続される速度発電機が3種類あり、それぞれの出力周波数が異なること、出力波形が矩形波であったり、電圧が規定の出力を満たさなかったこと、15段階にも及ぶ加減速の制御や14種類のモード切替を手動で行うことが難しく、また1台100万弱もするファンクションジェネレータ(4出力)が8台以上必要であること、いずれ車両搭載機器を更新した際にも対応させることなどを総合的に考えたとき、当初の仕様条件を満たす機器が市場に見当たらなかった。
そこで、車両の制御理論の検証や教育、また車両用に開発した装置における仕様との妥当性の確認のため、汎用で廉価にもかかわらず応用性が高い「NIの機器とLabVIEW」の組み合わせによる本システムの開発に着手した。
本装置は、東日本旅客鉄道株式会社が、模擬出力信号等含めた仕様を検討し、運転台との通信や信号出力等システム製作は、模擬TIMSシステムや扉開閉システム等でシステム製作・販売実績のある株式会社イー・アイ・ソルが、その仕様に基づきシステム製作を行い、販売した装置となる。

 

システム概略


本技能教習は、実際の運転台で技能教習を行い、実際の車両床下にあるVVVF(インバータ)やTIMS(車両制御装置)、ブレーキ制御装置に対して速度信号出力を行うものとなる。
本装置は、ファンクションジェネレータでは出力出来ない様々な運転パターンや車輪の動作状態を、cRIOから波形出力する事で、より実車に近づいた技能教習を実現した。
また、実車で実際に起きる「滑走」「空転」状態を作り出す事で、滑走防止装置やVVVFのモータ出力波形から状態の確認・研修を行う事が可能となった。
本装置は、運転台にあるマスコンや運転台I/F、VVVFと通信を行い、状態監視を行う。
その状態に合わせて、様々な運転パターン信号を、cRIOより出力するシステムとなる。
通常、ノッチの速度段階に合わせた速度信号出力、ブレーキ信号出力を行うのみが一般的であったが、本来の運転時は、車輪の空転や滑走といった状態も発生する。
ファクションジェネレータでは、それらの状態信号は作り出す事が出来なかったが、cRIOを採用する事により、今まで不可能であった空転・滑走といったより実車に近い形での信号出力が可能となった。また、MXI-Expressを採用したことで1msec周期という高速での出力周波数の変更が可能となった。

 

システム機能


マスコン、運転台I/F、VVVFとの通信は、RS-485(HDLC)通信。
それぞれ主機系と待機系の2系統と通信し、情報を取得している。
出力波形は、LabVIEW-FPGAを使用して19種類の正弦波を作成して出力。
(使用モジュール数は11個、40CH、)
ノッチ信号や運転モードに合わせて、1msec周期で出力波形を更新出力。

ユーザーインターフェースは、NI FPT-1015の15インチモニタを使用することで、タッチパネルによる操作を実現している。

各種動作モードに対応した信号の出力(計19パターン)    

・通常動作モード
               ・力行
               ・ブレーキ
               ・非常ブレーキ
               ・だ行
               ・再力行、再ブレーキ
               ・停止
               ・保安装置ブレーキ
               ・直通予備ブレーキ
               ・定速
               ・低定速
               ・抑速


・高位優先モード     車輪径の大きい信号を優先するモード
    

・速度異常モード     異常状態発生のモード。このモードが、FGでは実現出来なかったが、cRIO採用により実現可能となった。
               ・空転
               ・大空転
               ・滑走
               ・大滑走


・BSD操作                前進・後進信号の切替モード


速度異常モードのパラメータ設定
運転状態の表示
       ・力行、ブレーキノッチ等
                         ・非常
                         ・B1N~B8N
                         ・N(ノッチオフ)
                         ・P1N~P5N
出力速度信号のグラフ表示

 

画面例

拡張性


異常運転モード実施時に、出力信号を外部スイッチボックス等で切替を行うか、配線を変更するなどの操作を行う必要があるが、本システムにスイッチを組み込み、画面上に表示・スイッチング操作を行う事で、統合された速度制御器となり、かつ実際に出力している速度信号の流れも同時に確認・制御を行う事が可能となり、研修もよりスムーズに行われるようになる。

導入効果


本装置の導入により、ファンクションジェネレータでは出力出来ない様々な運転パターンや車輪の動作状態を、cRIOから波形出力する事で、より実車に近づいた技能教習を実現した。
また、実車で実際に起き得る「滑走」「空転」状態を作り出す事で、波形状態の確認・研修を行う事も可能となった。
また、今後、出力信号の増加や対象に変更が生じた際にも、設定変更やモジュール追加での対応が可能となり、都度で測定器を購入する必要がなくなり、結果、コストパフォーマンスにも優れた装置となった。

研修場風景

Author Information:
平澤 啓 氏
株式会社イー・アイ・ソル
Japan

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