アクティブフェーズドアレーアンテナ制御用擬似無線装置

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"この擬似無線機を使うことで、機能確認のための48素子APAAで、通信実験を行い当初の設計目標を満足する結果を得ました。"

- 日本無線株式会社 須田 保氏、太陽計測株式会社, 秋山 日出夫氏

The Challenge:
車載の移動体衛星通信装置は、アンテナを静止衛星方向に向けるために従来は、電気モーターによる機械駆動を採用していた。車載用途で要求される低姿勢化や、高信頼性、さらに高価格という課題に対して、全電子追尾のアクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)を低価格で実現することで、これらをブレークスルーすることを目指す。

The Solution:
PXIシャーシにCPUボード(NI PXI-8196)、高速デジタルIO(NI PXI-6534)を搭載し、移相器制御用のシリアル信号を生成し、被試験装置のAPAAへ送る。さらに任意波形発生器(NI PXI-5422)で変調器を、デジタイザ(NI PXI-5124)で復調器を構成し、ビットエラーレートを測定することで、通信品質を評価する構成である。

Author(s):
日本無線株式会社 須田 保氏、太陽計測株式会社 - 秋山 日出夫氏

【背景】
近年の情報通信分野のめざましい発展により、ワイヤレスブロードバンド通信が普及しているが、それは都市部など人口密集地域に限られているのが現状であり、山間部、離島などにおいては未だ普及の段階に至っていない。

一方でワイヤレスブロードバンドの活用法の一つに救急車で搬送中の患者の医療画像(動画)を高精細で病院の医師に送ることがある。これができれば救命率の飛躍的向上が見込まれる。この高精細動画伝送には1Mbps以上の通信速度が要求されるので、現在普及しているL帯やS帯では帯域不足であり、Ku帯以上の通信回線が必須となる。これらのブロードバンド通信環境の要求に答えられるために、Ku帯移動体衛星通信装置を安価に提供するための研究開発を進めている。

【課題】
車載の移動体衛星通信装置は、アンテナを静止衛星方向に向けるために従来は、電気モーターによる機械駆動を採用していた。車載用途で要求される低姿勢化や、高信頼性、さらに高価格という課題に対して、全電子追尾のアクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)を低価格で実現することで、これらをブレークスルーすることを目指す。

APAAには、数百個のデジタル移相器が組み込まれており、それらを制御する信号を生成する必要がある。また、送受信中にその移相器を制御した場合の通信品質を評価するために、変調信号を生成し、送信することと、その信号を受信して復調することで、ビットエラーレート測定による回線品質の評価を行うシステムを構築する。

図1.PXIシステムによる擬似無線機 

【ソリューション】
PXIシャーシにCPUボード(NI PXI-8196)、高速デジタルIO(NI PXI-6534)を搭載し、移相器制御用のシリアル信号を生成し、被試験装置のAPAAへ送る。さらに任意波形発生器(NI PXI-5422)で変調器を、デジタイザ(NI PXI-5124)で復調器を構成し、ビットエラーレートを測定することで、通信品質を評価する構成である。

研究の初期段階においては、アンテナの素子数が16で、移相器の制御線も64本と比較的少なかったので、デジタルIO(NI PXI-6509)で賄うことが出来たが、その後、256素子に拡張することになり、2×4×256本のパラレル信号線が必要となった。そんなに多くの制御線を引くのは大変なので、シリアル信号で制御するために、高速デジタルIO(NI PXI-6534)を選択し、追加した。またさらに今後、処理速度向上のためにFPGAボード(NI PXI-7813R)を用意している。

RF部分も当初は中間周波数を70MHzに設定していたが、その後、L帯に中間周波数を上げる必要が生じたので、アップコンバータ(NI PXI-5610)とダウンコンバータ(NI PXI-5600)を追加した。

このようにプロジェクトの進捗状況に応じてPXIボードを追加し、機能を高めることが出来て、それに合わせたプロブラミングがLabVIEWにより迅速に可能となるPXIシステムはこの研究に最適であった。図1に最終的なPXIシステムの構成を示す。

図2の①に試作した48素子APAAを示す。これは菱形の16素子サブアレーを3組120度ずつ回転配置して構成されている。このサブアレーは、②に示す192素子のように拡張できるという特徴を持つ、つまり同じサブアレーを沢山作れば無限に大きなアレーを作ることができる。

図3に示すように移相器を制御することで良好に指向性ビームパターンが形成できる。

図4にビットエラーレート測定のフロントパネルを示す。ソフトウェアで変復調しているので、変調方式や変調速度等のパラメータを自由に変えられるという利点があり、本研究の用途には最適である。

図5に示すように電波暗室内に送信用APAAと受信用APAAを設置し、ループテストトランスレータで折り返しする。擬似無線機はアップコンバータとダウンコンバータを介してAPAAと接続され、さらに移相器制御用シリアル信号も、接続される。

     

①48素子                                             ②192素子

図2.アクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)

図3.48素子APAAの指向性ビームパターン 

図4.ビットエラーレート測定のフロントパネル


図5.総合評価(電波暗室での通信実験)

【まとめ】
アクティブフェーズドアレーアンテナを研究開発するにあたり、その評価実験の冶具あるいは測定器としてNI PXIシャーシ上にソフトウェア無線機もどきの擬似無線機を構築し、フェーズドアレーの移相器制御と変復調、ビットエラーレート測定を実現した。

その擬似無線機を使うことで、機能確認のための48素子APAAで、通信実験を行い当初の設計目標を満足する結果を得た。

本研究は、総務省の委託研究「高マイクロ波帯用アンテナ技術の高度化技術の研究開発」により行った。

 

Author Information:
日本無線株式会社 須田 保氏、太陽計測株式会社
秋山 日出夫氏

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