アクリルブロックのすべり摩擦を対象とした摩擦接触面の高速度可視化システムの開発

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"通常は、測定器のセットアップからアプリケーション開発まで1年から2年必要なところを、LabVIEWを使用することによって、半年で結果を出すまでに至りましたた。これは、LabVIEWの操作性・汎用性によるものであると考えられます。"

- 前川 覚, 横浜国立大学 大学院 環境情報学府 中野研究室

The Challenge:
① 撮影速度100、000fps以上:剥離前線の伝播といった音速レベルのダイナミクスを可視化するためには、撮影速度が100、000fps以上となるのが必須条件である。 ② 力計測との同期:摩擦面のダイナミクスとマクロスコピックな摩擦力を比較するために、カメラのシャッターフレームと力信号の完全な同期が必須条件である。

The Solution:
同システムは、接触する2個のアクリル試験片のすべり摩擦を発生させる。両試験片間の接触部を可視化するために、平面レーザ、コリメートレンズおよび高速度ラインスキャンカメラを用いて透過光学系を構築した。一方、接触荷重および接線荷重を同時計測(カメラと完全に同期)するために、ロードセルを接触面垂直方向に2カ所、接線方向に1カ所設置した。また、接触荷重の偏りを回避するために、接触荷重方向に傾斜ステージを設置した。

Author(s):
前川 覚 - 横浜国立大学 大学院 環境情報学府 中野研究室

【背景】
地震発生の予知や摩擦発現機構の解明に向けて、静止摩擦から動摩擦への摩擦遷移現象と対象とした、接触面の高時間分解能計測が重要視されている。摩擦現象を支配するすべり破壊核の形成と成長といった、短時間で生じる高速かつ非定常な接触面力学現象に着目することで、これまで見逃されてきた新たな摩擦法則が明らかと成るに違いない。

 そこで本研究では、透明なアクリブロックのすべり摩擦を対象として、同摩擦接触面のその場観察を行った。その結果、摩擦接触面に一般的な潤滑油(ポリアルファオレフィン)を塗布することによって、これまで知られていない新たな摩擦相転移プロセスが存在することを見出した。さらに、静止摩擦から動摩擦への遷移に生じる時間に着目することで、無潤滑条件下と潤滑条件下において同摩擦遷移時間に及ぼすシステム依存性が異なることを見出した。同研究成果は、摩擦発現機構の解明に向けて重要な知見と成るだけでなく、新規すべり摩擦システムの開発に向けての鍵となるに違いない。

【課題】

 上記の研究を達成するための課題を以下に示す。

① 撮影速度100、000fps以上:剥離前線の伝播といった音速レベルのダイナミクスを可視化するためには、撮影速度が100、000fps以上となるのが必須条件である。

② 力計測との同期:摩擦面のダイナミクスとマクロスコピックな摩擦力を比較するために、カメラのシャッターフレームと力信号の完全な同期が必須条件である。

 以上の課題を克服するために、LabVIEWを用いた本システムを構築した。

【ソリューション】

システム構成
 
本システムのハードウェアを図1に示す。同システムは、接触する2個のアクリル試験片のすべり摩擦を発生させる。両試験片間の接触部を可視化するために、平面レーザ、コリメートレンズおよび高速度ラインスキャンカメラを用いて透過光学系を構築した。一方、接触荷重および接線荷重を同時計測(カメラと完全に同期)するために、ロードセルを接触面垂直方向に2カ所、接線方向に1カ所設置した。また、接触荷重の偏りを回避するために、接触荷重方向に傾斜ステージを設置した。

 まず、長時間計測用および撮影トリガ用としてダイナミック信号収録ボード(NI PCI-4472)によってロードセルの荷重変動信号を取得した。トリガ信号取得後、CameraLink画像入力ボード(PCIe-1429)によって、接触面のその場観察を行った。同時にRTSIケーブルにより、カメラのクロック信号をマルチファンクションDAQ(NI PCIe 6251)に送信し、同クロック信号を利用して、ロードセルの荷重変動信号を取得した。これにより、画像収録と力計測の同期を達成した。

 本システムのソフトウェアを図2に示す。同図は、画像データおよび荷重変動信号の取得プログラムである。本実験における課題は、静止摩擦から動摩擦への遷移の瞬間でのアクリル試験片間の可視化である。長時間計測した荷重変動信号および短時間計測した画像データと荷重変動信号を同時にグラフ化されている。これにより、データ整理の手間が省け、実験に必要な時間が大幅に減少した。また、得られた画像データを、その場で画像解析(二値化やトリミング、フィルター加工など)ができるよう工夫されている。実験条件(撮影速度、撮影時間など)はすべてプログラミング上で簡単に指定することができるようになっている。

図1(a) ハードウェア(写真)

 

 

図1(b) ハードウェア(正面図)        図1(c) ハードウェア(側面図)

 

図2 ソフトウェア

 

 

  

図3(a) 実験結果(無潤滑時)          図3(b) 実験結果(潤滑時)

【結果】
 実験結果の一例を図3に示す。同図に示すように、無潤滑時と潤滑時における、静止摩擦から動摩擦への遷移プロセスの可視化に成功した。詳細は割愛するが、無潤滑時においては、伝播速度が約1000m/sである剥離前線を可視化できていることがわかる。また、無潤滑時と潤滑時では、摩擦の相転移プロセスが大きく異なることがわかった。

 以上のように、LabVIEWを用いることによって、非常に高速度(ミリ秒オーダー)である摩擦の遷移プロセスを可視化することに成功した。通常は、測定器のセットアップからアプリケーション開発まで1年から2年必要なところを、LabVIEWを使用することによって、半年で結果を出すまでに至った。これは、LabVIEWの操作性・汎用性によるものであると考えられる。

 

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前川 覚
横浜国立大学 大学院 環境情報学府 中野研究室

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