Multisimを用いた座学から実験を一貫させた電気工学教育

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"学生の満足度に関して、アンケート結果から今までにないほどの高い評価を得た。これは、Multisim 9の操作性の良好度によるところが大きいように見受けられる。"

- 新川 拓也 氏, 大阪電気通信大学 医療福祉工学部医療福祉工学科 准教授

The Challenge:
医用生体工学の分野において、電気工学に関する知識は基盤となるので極めて重要であり、特に電気回路の原理やそれに基づく計算などは、後の応用分野の学習に大きく影響する。ところが、学生諸君の中には高等学校に在籍の折、物理学が未修で、大学課程の電気工学の学習が困難な者もおり、講義では極めて基本的な部分の解説に終始することがあった。このような知識不十分な状態で電気工学実験を行うことで、理解に至らぬまま応用分野の学習に入り、苦手意識を持ち続けるケースも少なくない。

The Solution:
座学と演習、実験のセパレート構成では得られなかった体系的知識を学べるようになり、学生諸君にも大変好評であった。本学科では、実験レポートの提出を必須として課しているが、実験結果の考察部分においてシミュレーションの結果との比較を行い、誤差とその原因について言及する部分が多く見られ、学生の自主的な学習を促すことができた。

Author(s):
新川 拓也 氏 - 大阪電気通信大学 医療福祉工学部医療福祉工学科 准教授

背景:
本学医療福祉工学科は、医療技術と健康福祉工学の両方が学べる全国で唯一の学科として2001年度に開設された。本学科は、医療工学、医療情報学、健康福祉工学を3本柱として医学及び工学に関する幅広い教育を展開しており、所定の単位を取得することによって臨床工学技士の国家試験受験資格を得ることができる。2005年度から、より社会のニーズに即した教育環境の充実を図るためにカリキュラムの検討を行ってきたが、優れた学習環境を構築するためには単に科目数を増加させるのではなく、各科目間における教育内容を密接に連携させることによって、体系的な知識習得をサポートできるようにする必要がある。本学科では、医用生体工学に関係する様々な分野において、座学による基礎理論の学習を経て、その知識を直接実験、演習の場で活用できるよう、より実践的な学習環境を構築することを目指している。


課題:
医用生体工学の分野において、電気工学に関する知識は基盤となるので極めて重要であり、特に電気回路の原理やそれに基づく計算などは、後の応用分野の学習に大きく影響する。ところが、学生諸君の中には高等学校に在籍の折、物理学が未修で、大学課程の電気工学の学習が困難な者もおり、講義では極めて基本的な部分の解説に終始することがあった。このような知識不十分な状態で電気工学実験を行うことで、理解に至らぬまま応用分野の学習に入り、苦手意識を持ち続けるケースも少なくない。
そこで、本学科では電気回路シミュレータの Multisim 9を導入し、座学から実習、実験にいたるまでを一貫して学べるように工夫した。


ソリューション:

【システム構成】

WindowsXp をベースとしたネットワーク型の演習室に受講学生数分の Multisim 9を用意する。本学科における電気工学に関するカリキュラムの構成は、1年次前期にエレクトロニクス入門、後期に電気回路学とそれぞれ座学による講義を行い、2年次前期に電気工学実験を行う。担当する教員はなるべく統一し、講義の中で行う演習問題は必ずノートに記述させておく。それに基づいて電気工学実験のテキストを執筆しており、その内容について実験の前後に Multisim 9を用いてシミュレーションを行わせる。したがって、演習問題、テキスト、シミュレーション課題内の数値は、講義の進行に支障のない程度に大部分を一致させている。主な実験内容を次に示す。

1)ブリッジ回路
ホイートストンブリッジ回路を設計し、平衡条件を確かめる。また、図1に示すように、中央に位置する部分に LED(3D パーツ)を設置し、それを点灯させるよう各抵抗値を変更させる。キルヒホッフの法則によって計算させ、それをシミュレーションすることによって実際の動作を PC 上で確認できる。

2)計測器・発振器の使い方
3D の発振器、オシロスコープを用いて、その使い方を学ばせる。Multisim 9には、図2に示すように Tektronix 社製オシロスコープのインターフェースをそのまま模したパーツが用意されており、機器操作自体を模擬できる利点がある。

3)フィルタ回路
抵抗、コイル、コンデンサを組み合わせたフィルタ回路を設計させ、目標となるカットオフ周波数になるように数値を設定させる。オシロスコープで入出力波形を観察し、位相の変化を確認できるようにする。

4)共振回路
抵抗、コイル、コンデンサを組み合わせて直列、並列共振回路を設計させ、共振周波数の理解を深める。抵抗の値を変化させたときの周波数特性の変化を Multisim 9で確認した上で、実機を用いた実験でさらなる理解を目指す。


【結果】 

座学と演習、実験のセパレート構成では得られなかった体系的知識を学べるようになり、学生諸君にも大変好評であった。本学科では、実験レポートの提出を必須として課しているが、実験結果の考察部分においてシミュレーションの結果との比較を行い、誤差とその原因について言及する部分が多く見られ、学生の自主的な学習を促すことができた。学生の満足度に関しても、アンケート結果から今までにないほどの高い評価を得た。これは、Multisim 9の操作性の良好度によるところが大きいように見受けられる。また、講義時間外においても演習室でいつでも自主的に学習できるため、自主学習を基盤とする大学教育に適していると考える。



図1 ホイートストンブリッジ回路の実験課題


図2 RC フィルタ回路による位相差の観察


Author Information:
新川 拓也 氏
大阪電気通信大学 医療福祉工学部医療福祉工学科 准教授

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