医療従事者養成のための「BME実習」学習環境の構築

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"ブレッド・ボードとスタンド・アロンによる測定に比して、Multisim9環境はモニタ画面で時間領域と周波数領域の結果が同時に観測できるので、限られた授業時間内で実習課題を効率よく展開できました。"

- 博士(工学) 吉野 進也 元・教授, 帝京大学 医療技術学部 診療放射線学科

The Challenge:
BME実習で感熱式記録計とデモを複数台導入するのは経済的な負担である為、医用画像情報学実習のノートPCとLabVIEW関連のNI製品と組み合わせたシステムを導入すれば、記録計関連の問題を解決できるに違いないと想定しました。

The Solution:
T社のデジタル・オシロスコープをスタンドアロン(実機)環境とバーチャル環境で利用することにより、親和性を図ることができました。まだ授業回数は少ないですが、実習卓10台の各学生から好評を得ることができました。

Author(s):
博士(工学) 吉野 進也 元・教授 - 帝京大学 医療技術学部 診療放射線学科

【背景】

応募者の所属する学部に、2005年4月より開設された、臨床検査学科が第3学年まで進行して、2008年9月より「医用電工学(以下、BME)実習(第3学年後期)」を担当することとなりました。当該学科の提唱する「検査データについて議論できる、データ解析のスペシャリストを育てたい。」、「医療の安全性を確保・・・」などの重点目標の実現を目指した「BME実習」学習環境を構築することに至りました。


【課題】

1クラスの構成、1実習卓5名計10卓(学生50名)を2名の教員で指導しなくてはなりません。学生の大半が理工系科目の実験実習は初体験です。そのため、実習教材は全卓で一斉に指導できるように、AV装置による教員デモ用と併せて、21セット用意することにしました。 
従来の「BME実習」では、生体信号の計測器の代表的なものとして、心電計、光電脈波計そして電子体温計があり、その記録には感熱式記録計を用いるのが一般的でした。この感熱式記録計を1実習卓あたり最低1台と、デモ用1台と併せて、合計11台導入することは、消耗品のコスト面からも経済的な負担となり、今回のプランの実現が不可能となることが予想されました。
そこで、応募者の担当する、診療放射斜線学科「医用画像情報学実習(第2学年通年)」のノートPCとLabVIEW関連のNI製品と組み合わせたシステムを導入すれば、記録計関連の問題を解決できるに違いないと想定しました。
さらに、上記の「データ解析」のスキル・アップを考慮した実習内容を実行するためには、教員デモ用1、実習卓2の合計21システムが必要となります。以上のプランが実現できるように、大学当局からの支援を仰ぎました。
応募者の所属学科長と当該の臨床検査学科長の賛同と応援を頂きまして、今回のプランが実現できました。
本学の関係各位の諸先生方に、改めて感謝申しあげます。


【ソリューション】

1. システム構成

今回構築した学習環境による実習内容の一部を紹介します。

Lab1 電子計測器の使用法/CR回路

LCRメータを用いて、キャパシタの公称値、実測値、誤差を確かめます。次に、T社のデジタル・オシロスコープと信号発生器を用いて、信号波形の観測を行い、電子計測器の操作を習熟します。ブレッド・ボード上に実測値を測定した抵抗とキャパシタでフィルタ回路を結線して、方形波入力に対する出力波形を観測します。同じ測定環境をMultisim9でPCの同一画面上に2つの回路で構成することが可能です。左側はT社のデジタル・オシロスコープで方形波入力に対する出力波形の観測((時間領域)、右側はボーデ線図(周波数領域)を表示させて、心電計におけるハイ・パス・フィルタにおける「時定数とカット・オフ周波数の関係」を理解します。 これらの結果から、心電計の動作時で、手術室におけるバイタル・サインのモニタの場合と、中央検査室における心電波形の忠実な記録の場合について体験的に学習します。


図1. CR回路(左;時間領域、右;周波数領域)


Lab2 光電脈波計(パルスオキシメータ)

ブレッド・ボード上にOPアンプIC3個、抵抗、キャパシタ、フィンガー・プローブ(LED、ホトダイオード内蔵)を接続して光電脈波計回路を構成し、LabVIEW環境で脈波を計測することにより心拍数との関係を検討します。




図2. 光電脈波計回路





図3. 脈波



2. 結果

上記の課題の解決にあたり、NI ELVISバンドルセットが果たした効果について報告します。

Lab1 電子計測器の使用法/CR回路

T社のデジタル・オシロスコープをスタンドアロン(実機)環境とバーチャル環境で利用することにより、親和性を図ることができました。まだ授業回数は少ないですが、実習卓10台の各学生から好評を得ることができました。
ブレッド・ボードとスタンド・アロンによる測定に比して、Multisim9環境はモニタ画面で時間領域と周波数領域の結果が同時に観測できるので、限られた授業時間内で実習課題を効率よく展開できました。

Lab2 光電脈波計

脈波の観測については、従来はオシロスコープ画面のスケッチ用紙などに模写するのが一般的でした。ノートPC環境にすることにより、無線LAN環境によるレーザ・プリンタが使用できるので、学生の負担を軽減することができました。その結果、円滑な授業進行が可能となりました。波形データのディジタル化により、NI ELVISバンドルセットを導入して間もないので未完成ですが、脈波の特徴抽出するプログラム開発も他の言語に比べて容易に実行できるものと確信しています。近年、単一電源のアナログICが主流になりつつありますが、今回、本邦の教育機関に最小に納入して頂きました「新機種ELVIS II」でも、±15Vの2電源を備えており、741など汎用アナログICの接続可能のため、教育用装置として非常にありがたいことです。

今後の課題としては、時間の許す限り、NI ELVISバンドルセットを活用した実習課題の開発を図り、教育効果の改善に努力致したいと考えております。

Author Information:
博士(工学) 吉野 進也 元・教授
帝京大学 医療技術学部 診療放射線学科

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