4ローター型 MAV 設計のための計測・制御システム

  Print Print

"LabVIEW は A/D ボードなどのハードウェアとの連携があらかじめ考慮されており、極めてトラブルが少なく開発することが可能であった。 "

- 田地 正樹 氏, 東京大学大学院 工学系研究科環境海洋工学専攻

The Challenge:
MAV はその小型さ故に搭載される機器も制限されたものとならざるを得ず、制御系も実装の容易さが求められる。そのためPID 制御系を採用し、そのゲインを実験的に最適化する手法を開発する事を目的とした。

The Solution:
LabVIEW を用いて4ローター型 MAV の制御系をリアルタイムで最適化するシステムを実装した。機体の現在の状態を表示しながら実験を行う事が出来ることで効率は大きく向上した。

Author(s):
田地 正樹 氏 - 東京大学大学院 工学系研究科環境海洋工学専攻
矢口 雄大 氏 - 東京大学大学院 情報理工学系研究科知能機械情報学専攻

【背景】
超小型飛翔体(Micro Air Vehicle: MAV)は、地上を移動する場合と比較して作業可能な範囲・質を向上させることができる点から近年注目を集めている。中でも回転翼型の MAV は既にホビー用途に遠隔操縦のものが広く普及しており、ホバリングによって定点に滞在可能であること、機動性に優れている事などから室内などの狭い空間における利用に期待がかけられている。

我々は4ローター型(Quad rotor)の MAV を試作しホバリング飛行制御の実験を行った。4ローター型は、各ローターの回転数を独立に制御することで姿勢と並進運動を行うため高度な制御技術を要するが、機動力に優れており、外力に対しても他のタイプよりも有利だと考えられている。


図1 機体外形

MAV はその小型さ故に搭載される機器も制限されたものとならざるを得ず、制御系も実装の容易さが求められる。このため本研究では PID 制御系を採用し、そのゲインを実験的に最適化する手法を開発する事を目的とした。
本来は完全自律で飛行する機体を設計することが目的ではあるものの、多くのセンサーを使用するデータ収集の容易さや、制御系の試作が簡単であることなどから、有線で接続された機体の制御を行うこととした。


【ソリューション】
試験用に制作した機体のサイズは長さ50cmの十字形であり、4つの市販されているブラシレスモーターとラジコンヘリ用のローターを持つ。
システム全体の概要図を以下に示す


図2. システム概念図


機体にはジャイロセンサ(IMU)が搭載されており、現在の姿勢、および角加速度を出力する。
このデータは RS232C を通じて CPU ボード PXI-8656 によって集録され、それを基に4つのモーターの PWM 制御信号を TimingI/O ボード PXI-6602 より出力する。
また、制御システムの評価を行うために、目標とする姿勢からの傾きの偏差と機体の角運動量の算出をリアルタイムで行っている。
このシステムの目的は機体の姿勢を安定させる制御系を設計する事であり、具体的には PID 補償器のゲインを最適に設定する事である。PID 補償器のゲインは相互に関係しあっており、特に多変数系の場合、システムの特性のみから決定することは困難である。このため、実験的に最適なゲインを探索する手法が必要となる。本研究では最急降下法を基とした最適化を行う。最急降下法は性能の評価関数の傾斜方向に変数を更新する手法であるが、評価関数をゲインで微分するのは極めて困難であるため、実験的な手法に基づいて傾斜方向を求めることを考える。ここでは、更新のステップ幅をある程度大きく取り、最初に試行錯誤的に全てのゲインを増し、以降、一定時間経過後に、あるゲインを増して(減じて)評価関数が改善された場合は次のステップでもゲインを増し(減らし)、悪化した場合は元に戻るという作業を繰り返すこととする。


【結果】
実験に使用したソフトのフロントパネルを示す。


図3. フロントパネル


フロントパネル上には現在のジャイロセンサの値を表示する部分が下部にあり、その他現在のモーター出力、PID 補償器のゲイン、評価関数として傾斜の偏差と角運動量の値などが表示出来るようになっている。モーターの出力、およびゲインは手動でも変更出来るようになっており、この計測・制御系を用いて、以下に示すような実験を行った。


図4. 実験概念図

機体は上から紐で吊るされており、安定を崩した際にも飛び出さないよう固定されている。この状態でローターを回し、安定して浮き上がる状態に収束するかどうかを観測する。 結果の1例を以下に示す。



図5. ゲイン時間推移




図6. 偏差時間推移


ここでは図4は PID 補償器のゲインの時間推移であり、図5は偏差の時間推移である。このグラフを見ると、実験開始後一分間程度までは偏差が減少傾向にあるものの、その後はむしろ若干増加している。ゲインを見ると、比例ゲインが上限として定めた安定限界に達しており、一方微分ゲインは減少しているので悪化するのは妥当である。
この結果は、現在の探索手法ではいったん局所解から外れだすと再び収束することなく発散してしまう事を示している。

【まとめ】
本研究では、LabVIEW を用いて4ローター型 MAV の制御系をリアルタイムで最適化するシステムを実装した。機体の現在の状態を表示しながら実験を行う事が出来ることで効率は大きく向上した。MAV はその開発に際して、プロペラの特性、モーターの応答性など多くの要素を考慮しなければならず、多様なセンサーを同時に処理し、解析する必要が生じる。LabVIEW は A/D ボードなどのハードウェアとの連携があらかじめ考慮されており、極めてトラブルが少なく開発することが可能であった。

また、本システムは先行研究で使われていたものを基に学生2人で開発し、およそ1月という短期間で開発する事ができた。

Author Information:
田地 正樹 氏
東京大学大学院 工学系研究科環境海洋工学専攻
Japan

Bookmark and Share


Explore the NI Developer Community

Discover and collaborate on the latest example code and tutorials with a worldwide community of engineers and scientists.

‌Check‌ out‌ the‌ NI‌ Community


Who is National Instruments?

National Instruments provides a graphical system design platform for test, control, and embedded design applications that is transforming the way engineers and scientists design, prototype, and deploy systems.

‌Learn‌ more‌ about‌ NI