特殊電極と計算機プログラムの開発による神経筋構造の調査

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"複雑な波形を視覚的に分かりやすく表示でき、あらゆる分野で幅広く活用できる可能性を示しました。"

- 西原 賢, 埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科

The Challenge:
体表から骨格筋の神経筋構造を非観血的に調べる目的でこれまで開発した分析技術を応用して筋線維の走行方向と神経支配領域を調査した。

The Solution:
神経支配領域付近の筋線維伝導速度は、それ以外の部位より早く、分布の偏りが認められた。また、推定された神経支配領域は様々な方法で裏づけが可能であった。

Author(s):
西原 賢 - 埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科

1.目的

体表から骨格筋の神経筋構造を調べる技術は、リハビリテーション分野で活動低下している筋の機能回復に用いられるだけでなく、注射部位の安全領域を特定するなどの他分野へも利用できる1)。本研究ではこれまでの奨励研究で得られた分析技術を利用して、骨格筋の機能解剖学的構造を詳細に調べた。

2.研究の背景

(1)筋の解剖学的構造を体表から調べるには、ひとつの筋に沢山の電極を貼り、複数の筋電図を記録・分析する方法が一般的である。
(2)体表から骨格筋の神経筋構造を調べる目的に適した電極は市販されていない。
(3)得られる筋電図をどのように解析するかも定まっていない。

3.方法

(1)実験方法
年齢21±3.6歳(mean±SD)の健康な男子21人を対象に、本研究で開発した8チャネルのマルチアレイ電極を右上腕二頭筋の筋方向に沿って貼付けた。手首に1kgの重垂バンドを装着し、肘屈曲90°で等尺性肘屈曲運動を1分間行わせた。検出した筋電図は生体アンプで筋電図を計算機に保存した。

(2)データ分析
運動開始から10秒経過後の5秒区間の筋電波形を、本研究で開発した計算機プログラムで、筋電図の波形からピークを検出して平均した各々の波形(AP)からチャネル間の時間差(TD)視覚的に表示して神経支配領域および活動電位伝導方向を調べた(Fig. 1)。

4.結果

(1)体表に貼り付けた電極を基準に5mm間隔で9区間に分けて調べることができた(第5区間が筋中心の筋腹になる)。
(2)全21被験者のうち、20被験者において、第1-9区間で各々1, 1, 3, 3, 1, 2, 6, 1, 2の度数で神経支配領域の分布と活動電位の伝導が推定された(Fig. 2)。
(3)残り1人の被験者は第1と第9区間の2か所の神経支配領域が推定された。
(4)神経支配領域付近の筋線維伝導速度は、それ以外の部位より早く、分布の偏りが認められた。

5.考察

筋線維伝導速度が高値を示すことやFig. 1で現れるような平均パルスの時間差などから調べた神経支配領域が正しいことが裏付けられた。しかも、違う時間区間の筋電波形でも、同じ被験者では同様の結果が得られたことから、再現性が非常に高い分析ができることも確かである。2ヵ所に神経支配領域が分れていると推定された被験者の筋電波形の場合でも、記録された1分間の全領域で全て同様な結果が得られており、神経筋構造を調べるのに重要な手がかりになることが示唆された。

6.結論

上腕二頭筋の構造が体表から調べられた。本法は複雑な生体信号の波形が視覚的に分りやすく表示できるので、あらゆる分野の人が幅広く活用することが可能である。

Author Information:
西原 賢
埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科

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