導体抵抗自動モニタリングシステム

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"、開発ソフトにLabVIEWを採用したことにより、各種顧客ニーズに対し柔軟に対応することができ、開発コストを抑えつつ、機能の最適化・操作性の向上を実現できました。"

- 矢野 丈二 氏, Wave Technology

The Challenge:
大手半導体メーカより下記のようなフィードバックを受け、顧客ニーズに合致した導体抵抗自動モニタリングシステムを開発する。

  • 機能最適化とユーザビリティ性向上
  • 実需にあった機能追加・強化
  • システムの小型・軽量化
  • 低価格化

The Solution:
LabVIEWとSCXIの構成で、汎用システムの置き換えを実現した。

Author(s):
矢野 丈二 氏 - Wave Technology

1. 背景

 本システムは、大手半導体メーカー様からの要望により、受注開発したシステムです。ICパッケージの実装信頼性寿命を評価する加速試験(ヒートサイクル試験)に用います。温度サイクル試験槽内において、はんだ接合部や実装品の導通部分の抵抗をリアルタイムに測定することができます。
 ヒートサイクル試験における導通ラインの抵抗値リアルタイムモニタリングであれば他用途でも使用できます。

■システムの必要性
【従来】
  QFPやSOPといったリードタイプのICパッケージが主流で、実装信頼性評価は、既定サイクルで取り出して、室温下で導通ラインの抵抗値を測定する手法が一般的でした。

【近年】
  BGAやLGAといった、パッケージ下に電極を配置した構造のICパッケージが主流で、従来の測定方法では導通が回復する場合があり、正確な寿命が確認できない為、導通ラインの抵抗値を温度サイクル環境下でリアルタイムに確認できるシステムが必要となってきております。

■開発の経緯
同種のシステムが市販で既に販売されていましたが、次のようなご意見・ご要望を頂き、顧客ニーズにマッチしたシステムを開発することになりました。

  1. 機能最適化とユーザビリティ性向上
    市販システムは、汎用性の高いシステムである反面、実際の試験・評価環境では利用しない機能が多く、機能を最適化しユーザビリティ性を向上させたいとのご意見を頂きました。
  2. 実需にあった機能追加・強化
  3. システムの小型・軽量化
    設置効率と可搬性向上のため、メーカー保有市販システム比30%減目標での開発要望。
  4. 低価格化
    投資効率upのため、メーカー保有市販システム比30%減目標での開発要望。

2. 課題

  1. 市販システムよりも小型・軽量・低価格であること(メーカー保有システム比30%減目標)。
  2. 接合部分の抵抗値を測定するため、mΩ単位での計測精度が必要となり、4線式の抵抗測定
    方式が前提であること。
  3. 標準で192ch(最大256chまで拡張可能)まで抵抗値測定可能であること。
  4. 1測定点(ch)あたり4線を用い、スキャナにて測定chの切り替えを行うため、スキャナには4線/セットで切り替えが可能で、且つ最大256ch(4線式のため、ライン総数=1024)までスキャンができる能力が必要。
  5. ヒートサイクル槽と連動(通信)したシステム制御が必要。
  6. 機能最適化とユーザビリティ性の向上。
  7. 各種顧客ニーズの取り込みと、ユーザーインターフェイス部分の強化。

3. ソリューション

 3-1.システム構成

今回開発したシステムの主な構成
  ・SCXI-1000(SCXIシャーシ)×1
  ・SCXI-1357(4スロット 高電圧バックプレーンアセンブリ)、1mケーブル付き ×1
  ・SCXI-1130(高密度マルチプレクサ/マトリックス) ×3
  ・SCXI-1377(端子台/マルチプレクサ、SCXI-1130用)×3
  ・NI PCI-4065 1/2-Digit DMM(300/3A)×1
        ・PCI-GPIB (GPIBインターフェイス)×1
  ・LabVIEW ver8.2(開発ソフト)
  -----------------------------------------------------------------------------
  ・WindowsPC + モニター
  ・プロトコルコンバータ
  ・測定ケーブル(カスタム)
  ・UPS
  ・システムラック

図1. システムイメージ



図2. ユーザーインターフェイス

 

「機能最適化とユーザビリティ性の向上」、「実需にあった機能追加・強化」、「各種顧客ニーズの取り込み」、「ユーザーインターフェイスの向上」といった、主にソフトウエア開発環境に依存する要望・課題がありましたが、開発環境にLabVIEWを採用することにより、これらニーズにも柔軟に対応することができ、顧客にも満足頂くことができました(図2にユーザーインターフェイスの一部を示します)。

開発システムに求められた要件の一部を次に示します。

・予備測定機能(配線接続確認)
・仕様別にfileを生成/保存(条件設定画面にて仕様別にfile名、ch範囲等指定)
・バイナリ形式による随時data書き込み
 data採取時間、サイクル数、槽温度情報、抵抗値data
・user操作により、選択時点までの抵抗値変動をグラフ表示(file名別に表示可能)
*横軸をサイクル数に変換し表示(1サイクル未満のdataはサイクル数を演算)
*8ch毎にdata範囲をブロック化しブロック毎に一括グラフ表示
 標準192chの場合、最大24ブロック
*グラフ上で各chの表示/非表示選択可能
*最大960000ポイントの一括表示
 1000サイクル(2h/サイクル)、測定間隔=1分、一括表示ch数=8ch に相当
*描画chの選択や、拡大縮小、グラフレンジ変更、カーソル機能等の盛り込み
・ヒートサイクル槽との連動
*槽側のサイクルスタートに合わせた集録の自動開始
*槽側エラー時の自動待機と復旧時の自動開始
 サイクル動作中のみ確実にdataを集録・表示
*試験途中の槽側サイクル条件変更に対応(サイクル数の途中増減に対応)
*槽側のサイクル終了に伴うシステム中断
  

システム停止はuser操作でのみ行うことが可能
  ・viewer用アプリケーションの用意(viewerアプリ上からcsv形式の変換も可能)
  ・その他各種機能追加

3-2.結果

 ナショナルインスツルメンツ製ハードウエアを採用したことにより、システムの大幅な小型・軽量化を実現することができました。特にスキャナ部分にSCXIのシステムを採用できたことが実現のポイントであったと言えます。

*市販システムはスイッチ部分がカスタム仕様でサイズも非常に大きい。
*汎用計測器を使用した場合、ch数の拡張に限界がある。
*スイッチ部分内製の場合、リレー接点寿命保証・価格・サイズの面で最適ではない。

・SCXIベースのスイッチ構成の場合、小スペースで多chのスイッチ構成が可能
・SCXIベースのスイッチ構成により、高いリレー接点寿命を実現。
   A社汎用計測器:10M回(10V/100mA)
   SCXI-1130:100M回(10V/100mA)

 又、開発ソフトにLabVIEWを採用したことにより、各種顧客ニーズに対し柔軟に対応することができ、開発コストを抑えつつ、機能の最適化・操作性の向上を実現できました。

最後に、開発の経緯でも述べた、当初顧客要望と開発システムの導入成果を整理した結果を表1に示します。


  表1.当初顧客要望に対する導入成果

機能最適化とユーザビリティ性向上 満足(顧客ヒアリング)
実需にあった機能追加・強化 満足(顧客ヒアリング)
小型・軽量化
(顧客保有市販システム比30%減)
数値達成
低価格化
(顧客保有市販システム比30%減)
数値達成

 

4. まとめ

 導入システムの顧客稼動状況も良好であり、機能・操作性にも大変満足して頂いております。開発したシステムは、コスト優先の顧客希望もあり、Windowsベースのシステムになっていますが、システム安定性の面においても満足頂いております(顧客保有の市販システムと同等かそれ以上との顧客評価)。ソフトウエア設計する上でシステムリソース管理に注意を払った面もありますが、LabVIEWがPCベースの計測・制御に強みを持ったソフトウエアであったことも、システムの安定性として現れていると考えています。システム安定性については、顧客要望があればLabVIEWReal-Timeを使用したリアルタイムOSベースのシステムとして開発することも可能であり、開発環境としてもLabVIEWの優位性・柔軟性が高いことが伺えます。

現在、同一顧客から2台目の相談を受けております。又、新しい顧客からも引き合いがあることから、「LabVIEW + SCXI」の構成による汎用システムの置き換えが、顧客に受け入れられているものと感じております。

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