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PXIシステムDCテスタによる高速価格ACデバイステストシステム開発

"NI製品構築ビデオアンプオーディオアンプテストアプリケーションは、他社ミックスバイステ比較て、テスト時間30%以上高速あり、システムコスト70%以下価格顧客提案することできた。"

- 富川 茂夫 氏, 株式会社スパンドニクス 開発部

課題:

オーディオからRF帯域まで様々なAC試験のアプリケーションに対応可能なナショナルインスツルメンツ社(NI社)のPXIシステムとDC電源のバリエーション豊富な弊社テスタSX-3000シリーズを同期動作させた高速で低価格なACデバイステストシステムを開発する。

ソリューション:

オーディオからRF帯域まで様々なAC試験のアプリケーションに対応可能なナショナルインスツルメンツ社(NI社)のPXIシステムとDC電源のバリエーション豊富な弊社テスタSX-3000シリーズを同期動作させた高速で低価格なACデバイステストシステムを開発。

1. 背景

ビデオ、オーディオ機器などの製品に多くのACデバイスが使用されているが、これらの製品は国内、海外メーカの価格競争が激しく、デバイスメーカは製品メーカからデバイスのコストダウン要求を受けている。デバイスの量産時のコストは、テスタの導入コスト、テスト時間、歩留まり率などの要素から構成されている。一般的にACデバイスのテストは高価なミックスドデバイステスタが必要となるため、テスタの導入コストによるデバイスコストの上昇がデバイスメーカに負担となっており、デバイスメーカから低価格なACデバイステスタが要求されている。そこでオーディオからRF帯域まで様々なAC試験のアプリケーションに対応可能なナショナルインスツルメンツ社(以下NI社と省略)のPXIシステムとDC電源のバリエーション豊富な弊社テスタSX-3000シリーズを同期動作させた高速で低価格なACデバイステストシステムを開発する。

 

2. 課題

通常、被測定デバイスのテストに必要な機能をテスタが持っていない場合、テスタに単体の外部測定器を接続し、テスタと単体の外部測定器とを同期させて被測定デバイスのテストを行うことにより、テスタに不足している機能を単体の外部測定器で補ってテストを行っている。しかし、単体の外部測定器に一般的に付属しているGPIB(General Purpose Interface Bus)インターフェースのデータ転送速度は1 MB/秒と低速であるため、データ転送時間によるテスト時間の増加が問題となることが多い。PXIシステムは単体の外部測定器と同等の機能・性能を持った様々なモジュールが存在しており、データ転送速度は132 MB/秒と高速である。しかしこれまでテスタがPXIシステムを制御する方法がなく、テスタとPXIシステムを同期動作させたテストを行うことができなかった。

 

3. ソリューション

3-1. システム構成

NI社のPXIシステムと弊社テスタSX-3000シリーズを使用し、図1(右上の画像参照)に示すようなテストシステムを構築する。図2(右上の画像参照)は実際のテストシステムの外観である。操作用PC上にあるテスタ専用ソフトウェアでACデバイスのDCテストとPXI I/FとDIO間の通信を含んだテストプログラムを作成する。テストプログラムは、操作用PCにて測定用PCが受け取ることができる形式にコンパイルされ、測定用PCにLAN経由で送られる。また、操作用PC上にあるLabVIEWにてACデバイスのACテストとPXI I/FとDIO間の通信を含んだテストプログラムを作成する。テストの開始は、操作用PCから測定用PCにテスト開始信号をLAN経由で送り、測定用PCはテストを開始する。DCテストは、測定用PCがテスタバスを経由してSX-3000のONVI、CBIT等の資源モジュールを制御し実行する。ACテストは、測定用PCがテスタバスを経由してSX-3000のPXI I/FからPXIシステムのDIOにトリガ、テストNoを送り、操作用PCはPXIバスを経由してPXIシステムのデジタイザ、AWG等の資源モジュールを制御し、テストNoに対応したACテストを実行する。ACテスト終了後、操作用PCはテスト終了信号とテスト結果のデータをPXIシステムのDIOからSX-3000のPXI I/Fに送る。(ここで、PXIシステムのDIOからSX-3000のPXI I/Fに送られるデータは、PXIシステムのデジタイザ等で取得した生データではなく、操作用PC上にあるLabVIEWによって生データを演算処理した後の結果データである。)全テストが終了すると、測定用PCは測定終了信号と結果データをLAN経由で操作用PCに送り、操作用PCは結果データの合否判定、結果データの統計解析処理を行う。

 

テストプログラムは、ACテストとDCテストの2つのプログラムを作成する必要があるが、ACテストで使用するLabVIEWは理解しやすいデータフロー型の言語であるため、短期間でテストプログラムの作成が可能である。また、DCテストで使用するテスタ専用プログラムは、弊社の従来テスタから採用されている言語であるため、顧客が過去に作成したDCテストのプログラムにACテスト(PXI I/FとDIO間の通信)部分を追加してプログラムを再利用が可能である。

 

図3(右上の画像参照)に実際のデバイス(ビデオアンプ)のテスト例を示す。弊社テスタ専用ソフトウェアの試験プログラムをブレークポイントで止め、デバイスに印加するDC電圧や入出力等を固定した状態で(図3の右側)、NI社のLabVIEWを使用してPXIシステムの信号発生器からAC信号をデバイスに入力し、信号発生器の周波数を掃引し各周波数ポイントにおけるデバイスの出力をデジタイザに取り込み、FFT処理によってレベル測定を行った(図3の左側)。

 

表1(右上の画像参照)はPXIシステムの資源モジュールの型名、機能、用途を示している。PXI-4461(信号収録/発生)はオーディオデバイス、PXI-5422(AWG)とPXI-5122(デジタイザ)はビデオデバイス、PXI-5650(RF SG)とPXI-5152(デジタイザ)はRFデバイスのACテストを想定している。NI社から非常に多くの種類のPXI規格の資源モジュールが供給されており、表1以外の機能の資源モジュールが必要な場合も対応することができる。

 

表2(右上の画像参照)はSX-3000シリーズの資源モジュールの型名、機能、用途を示している。ONVIは低電圧で小電流のデバイス、QNVIは低電圧で中電流のデバイス、DHVIは高電圧のデバイス、SPVIとDPVIは大電流のデバイス、SUHVは超高電圧のデバイスのDCテストを想定している。また、TMRは時間測定が必要なデバイス、CBITはデバイスが搭載されたテストボード上の入出力切換え用のリレーのコントロール等を想定している。弊社は多種類のDC電源の資源モジュールを供給しており、デバイスのテストに最適な資源モジュールでテスタを構成することができる。

 

3-2. 結果

図4(右上の画像参照)と図5(右上の画像参照)にこれまでに顧客に提案したビデオアンプとオーディオアンプのテストのアプリケーション例を示す。どちらのアプリケーションとも他社製のミックスドデバイステスタに比較して、テスト時間は30%以上高速であり、システムコストは70%以下の価格で提案することができた。顧客から好評価を得ており、顧客の次期テスタの導入候補となっている。

 

 

図1. テストシステム構成
図2. テストシステム外観
図3. デバイスのテスト例
表1. PXIシステムモジュール
表2. SX-3000シリーズモジュール
図4. ビデオアンプのテストのアプリケーション例
図5. オーディオアンプのテストのアプリケーション例