欧州原子核研究機構(CERN)がNI LabVIEWソフトウェアとPXIハードウェアを使用して世界最大の粒子加速器を制御

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"実装プラットフォームとしてLabVIEWとPXIを選んだのは、従来のVMEおよびプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使用したモデルに比べ、小型でありながら堅牢性が高く、コストも抑えられるためです。"

- Roberto Losito, CERN

The Challenge:
世界最大の粒子加速器、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で、バルク部品の位置をリアルタイムで計測・制御し、ビームコアからエネルギー粒子を高信頼性・高精度で吸収する。

The Solution:
LabVIEW、LabVIEW Real-Timeモジュール、LabVIEW FPGAモジュール、NI SoftMotionソフトウェアをPXI用NI Rシリーズ再構成可能I/Oハードウェアとともに使用し、誤った粒子ビームや不安定な粒子ビームが悪影響をもたらさないようにするFPGAベースのモーションコントロールシステムを開発する。

Author(s):
Roberto Losito - CERN
Alessandro Masi - CERN

欧州原子核研究機構(CERN)は、世界最大の素粒子物理学研究所です。フランスとスイスの国境沿いに位置するCERNは、1954年に設立され、物質を構成する要素とそれを結び付ける力について研究しています。

宇宙に関する根本的な疑問への答えをLHCに期待

CERNでは、イオンビームまたは陽子ビームを互いにまたは他のターゲットに衝突させるため、粒子加速器という機械を使用しています。その衝突によって、大量のエネルギーが放出されます。そのエネルギーは、宇宙が形成される際に存在した高エネルギー状態を再現することが可能なほどの量です。LHCでの粒子の衝突により収集されたデータから、宇宙の成り立ちについて前例のない有益な情報が得られるとともに、なぜ粒子に質量があるのか、暗黒物質の起源は何かといった疑問にも答えることができます。

外周が27 kmあり最大150 mの地下に埋められているLHCは、光速に近い速度で移動する粒子ビーム同士を正面衝突させることができます。そのような衝突を発生させるため、LHCは2つの陽子ビームまたはその他の正電荷を持つ重イオンを円形トンネルの周囲に逆方向に送ります。超流動ヘリウム槽内で1.9 K(-271ºC/-456ºF)で動作する超電導磁石が、LHCビームの軌道を制御します。各ビームの全出力時における総エネルギーは350 MJで、これは400トンの列車が時速150 kmで走る場合のエネルギーに匹敵し、500 kgの銅を溶かすだけの威力があります。

安全性に不可欠な制御システムの信頼性

ビームのエネルギーレベルが非常に高いため、信頼性は極めて重要です。ビームが軌道を外れた場合、衝突加速器は壊滅的な損害を被る可能性があります。そこで粒子が意図した軌道から外れないようにするため、コリメータという装置を100台以上設置しました。コリメータとは、黒鉛などの重物質のブロックを使用して、ビームコアからエネルギー粒子を吸収するものです。各コリメータは、全部で120台あるPXIシステムに収められた再構成可能I/Oモジュールにより制御されます。標準構成では、1つのシャーシが3つの異なるコリメータに搭載された最大15個のステッピングモータを20分間のモーションプロファイルによって制御することで、黒鉛のブロックを正確かつ同期的に整列させ、2つめのシャーシが同じコリメータの位置をリアルタイムでチェックします。プロジェクトの第2段階では、約60個のコリメータと約60台のPXIシステムを追加して、PXIシステムの数が全体で約200台になるようにします。

特定のコリメータでは、両方のPXIシャーシがコントローラ上でLabVIEW Real-Timeを実行し、周辺スロットの再構成可能I/Oデバイス上でLabVIEW FPGAを実行して、コリメータの制御を行います。NI SoftMotion開発モジュールとNI再構成可能モジュールを使用して、LHCの周囲27 kmにわたりミリ秒単位での同期が可能な約600個のステッピングモータ用のカスタムモーションコントローラを短時間で作成することができます。これらのデバイスに搭載されているFPGA(field-programmable gate array)により、必要な制御を実現することができます。実装プラットフォームとしてLabVIEWとPXIを選んだのは、従来のVMEおよびプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を使用したモデルに比べ、小型でありながら堅牢性が高く、コストも抑えられるためです。

正確なタイミング、確度、信頼性を実現するソリューション

タイミング、確度、信頼性などの厳しい条件をクリアするため、再構成可能モジュールI/O とLabVIEW FPGAをベースにしたモーションコントロール/フィードバックシステムを採用しました。必要な機能だけを備えているため不要なコストがかからず、独自のソフトウェアドライバを開発する必要もないため余計な人手をかけずにすむ設計プラットフォームを選びました。

LHCは2008年夏に稼働開始予定で、世界中の科学者や研究者が宇宙の構成要素の解明に大きな期待を寄せています。

本事例のビデオが下記URLよりご覧いただけます。

http://digital.ni.com/worldwide/japan.nsf/web/all/B019F863D3A5D3F0492572300008CA98

Author Information:
Roberto Losito
CERN
Tel: 41-22-767-6263
roberto.losito@cern.ch

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