LabVIEWプログラムを用いた学生実験

  Print Print

"LabVIEWプログラムソフトを使った授業にしてからは、学生が自主的に課題を実行していく風景が多く見られる様になりました。"

- 大阪市立 大学, 菜嶋 茂喜氏

The Challenge:
本学科の学部生の中には、プログラムソフトにあまり精通していない者もおり、その様な学生に対しても、応用物理学実験Ⅱの授業時間の中で、如何にして多くの課題を実行し、理解を深めさせるかが、教員側で抱えていた課題の一つであった。

The Solution:
1. システム構成 応用物理学実験Ⅱで実際に行っている演習課題の一部を以下に紹介する。

Author(s):
大阪市立 大学 - 菜嶋 茂喜氏

背景
本学科(大阪市立大学工学部応用物理学科)では、学部3回生に対して提供している学生実験の中で、“コンピュータ一台で行える計測実験”を実施している。具体的な内容としては、学生が時系列信号を離散的に取り込んで計算処理を実行させている。工学におけるフーリエ解析や時系列データの解析にとって必要とされる離散フーリエ変換について、より深く理解させることがこの実験の目標である。2004年度までは、旧式のコンピュータ上を使って、Basicで作成されたプログラムを実行させていたが、昨今のプログラムソフトの急激な技術向上による情勢の変化と将来性を考慮に入れ、2005年度から、ナショナルインスツルメンツ社のADボードとLabVIEWプログラムソフトを使って実施している。また、4回生に進級した際の卒業研究に取り組む際に、LabVIEWプログラムソフトを使って、計測プログラムやデータ解析ソフトなどの構築を行う機会が多いことから、その入門編という意味も兼ねている。

課題
本学科の学部生の中には、プログラムソフトにあまり精通していない者もおり、その様な学生に対しても、応用物理学実験Ⅱの授業時間の中で、如何にして多くの課題を実行し、理解を深めさせるかが、教員側で抱えていた課題の一つであった。そのためには、プログラムソフトに不慣れな学生にも、「取り付きやすく、簡便に扱え」、かつ「計算結果がスピーディーに処理されて」、「即座にビジュアル化できる」ことが重要であった。

ソリューション
1. システム構成
応用物理学実験Ⅱで実際に行っている演習課題の一部を以下に紹介する。

【課題A】
図1の様に、発振器から(f=100 Hz~1 MHzの範囲で)正弦波を出力し、コンピュータに取り込み、その波形をグラフ化する。取り込まれた波形とオシロスコープで観察した信号と比較する。
☞ サンプリング周波数に対してどのくらいの周波数まで正しく入力波形が再現できるか確かめよ。

【課題B】
ファンクションジェネレータから、図2の波形(1)から(3)の信号のアナログ波形信号をコンピュータに取り込み、フーリエ変換をさせる。
☞ フーリエ級数展開で求めたフーリエ級数の各項の大きさ(anやbn)との程度一致するか確認せよ。

【課題C】
課題Bで得られたフーリエ級数の各項の係数の値を用いて適当なNまでの部分をフーリエ逆変換して再現する。
☞ 元の波形に対してどの程度近い波形が再現できるか比較せよ。また、不一致な点については、その理由についても考察せよ。

上記の各課題に対して、図3に示すADボードと、図4および図5のようなLabVIEWプログラムを学生に提供している。図4に示すプログラムでは、メイン画面上で、「データの保存」と「取込むデータのアドレス指定」を、それぞれ選択できるようにしてあり、実行ボタンを押せば、即座に取り込まれた時系列信号とそのフーリエ変換スペクトル(各周波数の振幅、および、複素成分の実数部、虚数部の係数)がパネル上で表示されるようになっている。この際、連続実行ボタンを使用すれば、例えば、手動で変化させた入力信号の結果が、ほぼリアルタイムで表示され、かつ、そのフーリエ変換スペクトルを即座に見ることが可能である。図5に示すプログラムでは、メイン画面上で「データの保存」と「各周波数におけるフーリエ成分の係数」を入力できるようにしてあり、実行ボタンを押すと、その入力値を使って、逆フーリエ変換された結果が画面上に出力される様になっている。基となる入力データは、図4に示すプログラムを使って保存したフーリエスペクトルのデータの結果を用いており、逆フーリエ変換を行うことにより、再び基の時系列信号が復元されるかどうかを調べることを目的としている。また、フーリエ級数項の数値を変えることによって、時系列信号がどの様に変化するかを確かめて、高調波成分の寄与や位相についても知見を得るようにしている。

2. 結果
これまでは、コンピュータの問題もあって、時間効率も悪く、教員が学生に代わって実行することがしばしばあった。そのため、本来大学の授業に求められる学生の自主性を育むという点で不十分な所も見受けられたが、LabVIEWプログラムソフトを使った授業にしてからは、(最初の一般操作説明は必要であるが、)学生が自主的に課題を実行していく風景が多く見られる様になった。保存されたデータはASCI I形式で出力するようにしてあることから、家などで実験結果の処理が容易に行えるようになったこともあって、手の込んだ面白い処理をしてくる学生も見受けられるようになった。教員側としては、プログラム操作の簡便さや出力結果の明瞭さも手伝って、ナイキスト周波数やサンプリング定理などの説明も短時間で学生の理解が得られるようになった。

図1. 時系列信号の取込方法

図2. ファンクションジェネレータで発生できる各種波形(1)鋸波、(2)三角波、(3)矩形波

図3. ナショナルインスツルメンツ社製ADボード(ノートPC用)

図4. LabVIEWプログラムソフトで作成した課題Aおよび課題Bの実習用プログラム

 

 

Author Information:
大阪市立 大学
菜嶋 茂喜氏

Bookmark and Share


Explore the NI Developer Community

Discover and collaborate on the latest example code and tutorials with a worldwide community of engineers and scientists.

‌Check‌ out‌ the‌ NI‌ Community


Who is National Instruments?

National Instruments provides a graphical system design platform for test, control, and embedded design applications that is transforming the way engineers and scientists design, prototype, and deploy systems.

‌Learn‌ more‌ about‌ NI