NI CompactRIOを使用して、高高度環境でも使用できる安定性に優れた組込式のソリューションを開発
Author(s):
David Thomson - 米国海洋大気庁(NOAA)
Industry:
Aerospace/Avionics
Products:
CompactRIO, LabVIEW, FPGA Module, Real-Time Module
The Challenge:
高高度での操作など、非常に厳しい使用条件にも耐え得る航空機搭載用計測システムを、市販のハードウェアを使用して構築する。
The Solution:
ナショナルインスツルメンツのCompactRIOおよびRIO(再構成可能I/O)を使用して、組込式の安定した小型のソリューションを開発し、高高度環境での耐久試験を実施する。
"CompactRIOが航空機搭載計測器や、安定した組込式ソリューションとして優れた性能、柔軟性が求められる過酷な環境での使用に最適であるという確証が得られました。"
高度環境でのテストにおける障害
高高度テストという厳しい環境条件で、市販のハードウェアを使用してカスタム仕様の航空機搭載用計測システムを構築するのは非常に難しい課題でした。電子機器が高高度/低気圧の環境で通常どおり作動しにくいのには様々な要因があります。計測に使われる電子機器は低温・低気圧という使用環境を耐え抜かなければなりませんが、高高度での低い空気密度は、熱放熱の原因となる環境を作り出します。そのため、航空機搭載用計測器にとって、電子機器の保温は大きな問題でした。
また、高高度での実用試験は、電子機器や計測器に非常に激しい振動を与えます。そのため、理想的な航空機搭載用計測システムは、物理的衝撃に耐えられるほど頑丈なものでなければなりません。このような航空機でのテストにて、計測器に及ぼす振動における最大の問題箇所は、装置内のハードディスクにあります。最近のハードディスクが相当レベルの衝撃と振動に耐えられるとは言え、飛行機で見られるような極度の振動は、装置内のハードディスクを簡単に「操作不能」に陥れるほどです。
さらに、ハードディスクのヘッド部分がディスク表面上に浮いていられるように、エアークッションが必要です。ハードディスクは、ほこりなどから保護するために密封されているとは言え、極度の低気圧に耐えられるような構造ではありません。そのため装置内のハードディスクは通常、高高度で使用した場合、ヘッド部分が破損して故障してしまうのです。さらにこのような計器は、航空機に搭載されているプラットフォームによく起こりうる電気ノイズの多い環境でも機能しなければなりません。このように高高度での操作に関するこのような物理的・電気的障害のため、正常に作動する計測器システム構築が困難なのです。
CompactRIOを用いた高高度計測ソリューションの開発
CompactRIO組込みシステムが安定していること、RIOテクノロジによってカスタマイズ可能であること、NI LabVIEW Real-Timeモジュールが確定性に優れた動作が可能である、という複数の利点から、高高度における実用試験の過酷な条件を耐え抜き、それだけでなく性能と柔軟性においても非常に高いレベルを維持するシステムを構築するのにはCompactRIOが最適であると言えます。
CompactRIOの使用周辺温度は-40~70℃と非常に広く、DC電源からでも動作し、絶縁I/O、信号調節モジュールが備えられているほか、50 Gの衝撃にも耐えられる設計となっています。CompactRIO組込みシステムは20 Wに満たないほどの電力しか使わず、気圧の低いところでも使用できることが証明されています。通常、高高度でのテストに用いられる計測器には、特殊な冷却構造が必要とされますが、複数の電子部品を備えたシステムにとっては、やや複雑なものとなっています。また、高高度でテストを行う際には、システムを圧力調整器に入れなければなりません。これが容量と重量を大幅に増やす原因となるのです。私たちが使ってみたところでは、CompactRIO組込みシステムは、非常に高度の高いところでも、特殊な冷却構造や圧力調整器なしでも通常通り機能していました。これは、CompactRIOの低電力消費に負うところが多いと考えます。CompactRIOにはこの他に、Compact Flashが搭載されていますが、これには可動部品が含まれていないため、航空機のテストにありがちなハードディスクの故障というジレンマに悩まされることはありません。
CompactRIOはRIOテクノロジを採用 しています。そのため、LabVIEWグラフィカルプログラミング環境を使用してカスタム仕様のハードウェアを構築することができるのです。LabVIEW FPGAモジュールを使用すれば、高速アナログ/デジタル制御アルゴリズムを開発して、航空機の計測に必要なカスタム仕様のタイミングと同期を統合させることが可能となります。CompactRIOシステムは、拡張システムとして用いることで、幅広いアプリケーションで求められる様々な機能を、市場に出回っている数々の高性能信号調節モジュールとして組み合わせて使用することができます。
CompactRIOをベースとしてLabVIEWで構築されたリアルタイムコントローラには、高性能な浮動小数点プロセッサが搭載されていて、高度なLabVIEWリアルタイムアプリケーションが構築可能でした。元来の利点である確定性以外にも、LabVIEWリアルタイムには、安定した小型のRTOSをベースに構築されていることでさまざまな利点があります。特に、このOSは、私たちの経験したところでは、予想外の停電によってハードディスクが故障しても(Windows OSではよく知られた問題で、航空機で使用される計測器では、対処しておかなければならない潜在的な問題要素)、その影響を受けることはありません。また、CompactRIOをLabVIEW Real-Timeモジュールと組み合わせて使用することにより、LabVIEWの開発における「性能」と「使いやすさ」の恩恵を得ることができるのです。例としては、高度なGUIやデータ集録・解析・制御ツール、内蔵のネットワークなどで利用されています。
過酷な環境下でも使用可能
高高度のシミュレーションを行うために、私たちはガラスケースの中に8スロットの再構成可能な組込み式CompactRIOシャーシを据え付け、ガラスケースから電源やネットワークへと接続させました。8つのモジュール式スロットには全てデジタル/アナログCompactRIO I/Oモジュールを挿入しました。LabVIEWのプログラムがデジタル/アナログCompactRIO I/Oモジュールを絶えずテストすることにより、異なる高度でも正確に機能するよう確認しました。
ガラスケース内で組込みシステムを使いCompactRIOプログラムを開始した後に、私たちは圧力を300 mb(高度27,000 ftに相当)にまで下げ、システムの状態を1時間観察しました。その後、150 mb(高度42,000 ftに相当)、55 mb(65,000 ft)、17 mb(90,000ft)、0.53 mb (173,000 ft)でも1時間状態を確認し、0.53 mbで8時間以上システムを動作させることにより、同システムが高高度でも非常に長時間にわたって動作できることを確認しました。
研究用に使用される航空機の殆どがその最高高度を70,000 ftとしているのに対し、私たちは今回のテストで、ガラスケースの正常動作範囲を下回るまでに気圧を低下させました。CompactRIOはこのような非常に厳しい状況下でも完全に動作し、大気圧の最後の0.05%を除いたとしてもさほど差がないように思われます。極端に低い気圧でのCompactRIOシステムの動作は見事なものでした。システムの物理的安定性と併せてみても、この結果から、CompactRIOが航空機搭載計測器や、安定した組込式ソリューションとして優れた性能、柔軟性が求められる過酷な環境での使用に最適であるという確証が得られました。
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