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富士ゼロックス社:PXI組込式リアルタイムコントローラでプリントエンジンの短期開発を加速

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図1. 電子写真装置の概要

Author(s):
鈴木 智久 氏 、安藤 裕喜 氏、大橋 康司 氏 - 富士ゼロックス株式会社

Industry:
Consumer Goods

Products:
Data Acquisition, LabVIEW, PXI/CompactPCI, Real-Time Module

The Challenge:
試作機と同じ動作ができるテストベンチを短納期で製作する

The Solution:
PXI(オープン規格の計測・制御用プラットフォーム)の採用

"今回比較的規模の大きなシステムであったにもかかわらず、短期間で新しいシステムのためのプログラムを作成できました。"

背景:
レーザープリンター(電子写真プリンター)内部にあるプリントエンジンでは、帯電・露光・現像・転写・定着の各プロセスと、繰り返しプリントを行うための感光体のクリーニングプロセスが行なわれている。(各プロセスの概略 図1)これらのプロセスでは、気中放電、摩擦帯電、静電気など温度・湿度の影響を受けやすい現象を利用しているため、安定した画質を維持するためには温度・湿度センサーや濃度センサーなどのセンサーを用いた高度な制御が必要となっている。同時に、部品の素材開発による磨耗や劣化特性の向上は、部品やユニットの寿命を延長させるために重要なポイントとなっている。

従来の商品開発では、プリントエンジンの各プロセスが相互に関連しているため、試作機の中で部品の素材開発を含めたプロセスユニットの評価・改善を進めざるを得なかった。したがって、試作機のハード開発とソフト開発が進行し、試作機が動作できるようになってから評価・改善のステップを行うまでに、長い開発期間が必要となっていた。また、試作機の製作費は高額となるため、プロセスユニットの評価に使用できる期間や台数も限られたものとなっていた。試作機本体の動作開始以前に、テストベンチを使ったプロセスユニットの評価・改善のステップを行うことができれば、プロセスユニットの完成度の向上とともに開発期間の短縮が可能となる。

ここでは、感光体・帯電器・クリーナーを一体とした感光体ユニットのテストベンチを製作してプリントエンジンの短期開発に活用した事例について紹介する。なお、このテストベンチには感光体ユニットの評価に必須となる露光プロセスと現像プロセスを備えている。

課題:
試作機と同じ動作ができるテストベンチを短納期で製作する。

ソリューション:
感光体や現像器など電子写真プリンターに組み込まれた各ユニットは、次のような条件に適した動きをするようにコントロールされている。

・温湿度のような環境要因
・カラーモード
・プリントされる紙の種類や枚数

例えば、帯電・露光・現像のパラメーターだけでなく、プリント速度や動作時間なども条件によって変わる。そのため、テストベンチを使って試作機と同等の評価をするにはシーケンサーで単純に動き続けるだけでなく、与えた条件に合った動きをすることが必要である。

今回作成したテストベンチで制御するデバイスは図2のブロック図で示す。このテストベンチを作る以前、ブロック図が同じような構成になるテストベンチを別の商品のために製作していた。このときは、制御システムとしてナショナルインスツルメンツのFieldPoint(モジュール式リモートI/Oシステム)を使っていたが、FP-CTR-502(FieldPointのカウンタモジュール)から出力させることのできるパルスの周波数が16 kHzとあまり高くなく、10 kHz程度のパルスを1 Hz単位で制御する必要のあるステッピングモーター用のパルスを分周して作ることができなかった。そのため、パルスを出すための周波数発生器をFieldPointとは別に取り付け、その周波数発生器をFieldPointのデジタルI/Oを用いて制御することでモーターを駆動しなければならなかった。

そこで今回は、以下のような理由でPXI(オープン規格の計測・制御用プラットフォーム)を採用した。

・FieldPoint より高い80 MHz の周波数ベースクロックを持つカウンタがある
・全部で40チャンネルほどある信号の同期を高い精度で取れる

FieldPoint 用に LabVIEW で書いた元のプログラムは、各モーターやセンサーなどデバイスへの入出力を制御する部分が個々にサブ vi 化できており、FieldPoint 用のユニークなダイアグラムを全てこれらのサブviに納めていた。そのため、プログラムの作成に必要な作業は主に、FieldPoint 用に書いたサブviのダイアグラムを DAQmx 用に書き換えることのみであった。これは、プログラム開発時間の短縮に大きく貢献している。また、プログラムは自作であるため自由に変更ができ、今後仕様の追加や変更があった時も柔軟に対応することができる。テストベンチは時には数日に亘って連続運転することがあるため、常に安定した動作が求められる。そこで PXI 用の OS には、Windows より安定している Real-Time OS を使用した。

テストベンチの概要:
このテストベンチは、次の動作モードを備えている。
標準シーケンスモード: 試作機の動きをシミュレートした維持性を評価
カスタムシーケンスモード: 感光体や帯電器などの個々の物性を評価
標準シーケンスモードでは PC をテストベンチから切り離し、PXI からのコントロールにより単独で動作することができる。このときの動作モードは、テストベンチに備えた3つの動作モードスイッチの切り替えによって8通りの組み合わせの中から選択し、同様にテストベンチに備えた Start/Stop スイッチによって、設定した動作モードでの駆動および停止を行う。

一方、カスタムシーケンスモードでは PC をテストベンチに接続して使用し、感光体や帯電器など評価したいものの物性をより詳しく評価できるように特化されたシーケンスを数種類持ち、それぞれのシーケンスでテストベンチを動作させることができる。なお、どちらのモードでも、動作時間や各種アナログセンサーから得たデータなど各種の情報は PXI に搭載されたハードディスクに記録され、FTP により任意のタイミングで PC に取り出すことができる。

このテストベンチの各デバイスを制御するために PXI が扱う信号は、次の通りである。

・感光体や現像器などを動かすためのステッピングモーター用パルスが4チャンネル
・高圧電源やレーザなどを動かす PWM が9チャンネル
・各種デバイスを ON/OFF したりベンチの動作を制御したりするデジタル I/O が17チャンネル
・アナログセンサーの状態をモニタするアナログ入力が7チャンネル

このうち、アナログ入力とデジタル I/O については、豊富なチャンネル数を持つ NI PXI-6229(データ集録ボード)1枚でまかなうことができた。モーターと PWM で使うパルスについては、ベースクロック80 MHz と十分な速さを持ち、分周して使うことで必要な精度で細かく制御することができ、さらにチャンネル数も多い NI PXI-6602(タイミング/デジタル I/O ボード)を選択した。また、パルスの出し方を連続パルスとすることで、NI PXI-6602 1枚から8チャンネルのパルスを独立して出すことができるため、このボードを2枚使用した。なお、周波数や Duty 比はプロパティノードから変えることで動作中もフレキシブルにコントロールできるようにした。

得られた効果:
このテストベンチにより、感光体や帯電装置などの特性を試作機の完成を待たずに評価できた。しかも動作の安定した Real Time OS 上で走らせたことで、任意にパラメーターを変えながら長期間無人運転をすることが可能となり、試作機を使ったときと同等の評価を約半分の期間で行うことができた。また、プログラムの開発期間は、元になるプログラムがあったことで、約1ヶ月と非常に短期間で完成できた。また、必要に応じてソフトの変更を自分でできるため、非常に小回りのきくシステムとなった。

まとめ:
今回比較的規模の大きなシステムであったにもかかわらず、短期間で新しいシステムのためのプログラムを作成できたことで、LabVIEWの持つ柔軟性と、リモートシステムであることをあまり意識しなくとも使えるPXI組込式リアルタイムコントローラの使いやすさを実感することができた。
今後は、この方法を感光体以外のユニットのテストベンチにも適用していくとともに、より高性能な制御システムをより短期間で構築できるようにさらに模索していきたい。

Author Information:
For more information on this Case Study, contact:
鈴木 智久 氏 、安藤 裕喜 氏、大橋 康司 氏
富士ゼロックス株式会社

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