LabVIEW によるシミュレーション及び計測システムの統合化
Author(s):
キャテック株式会社 機能モデル事業部 - 菊池 和哉氏
Industry:
Automotive
Products:
LabWindows/CVI, Data Acquisition, LabVIEW, Dynamic Signal Analyzers
The Challenge:
シミュレーションの実行部とLabVIEWの統合化
The Solution:
計測とシミュレーションを統合化したシステムを開発することで、両者を共通に取扱うようにし(結果の比較検討や差異分析)、労力の削減、製品の開発期間の短縮を目指しました
"従来、モデルの開発と同じ位の工数や時間がかかっていた表示解析部がLabVIEWを使うことで開発期間の短縮が図ることができ、モデルの開発により多くの時間を割けるようになりました。"
課題
従来、実機試験とシミュレ-ション(仮想試験)は互いに深い関連があるにも係わらず、別々の装置を使い結果の表示や解析処理をそれぞれ独立して行っていた為、表示操作や解析方法は個別に習得する必要があり、又、処理方法や表示部も異なることから、それぞれの結果を同じ条件で比較検討することが困難でした。計測とシミュレーションを統合化したシステムを開発することで、両者を共通に取扱うようにし(結果の比較検討や差異分析)、労力の削減、製品の開発期間の短縮を目指しました。
開発にはテスト・計測分野の開発ツールとして定評のあるLabVIEWを使いました。弊社は、従来よりLabWindows/CVIを使用して計測解析システムを作っていましたので、実機試験からのデータ集録や、解析処理をLabVIEWで行うことは特に問題なく実現できましたが、シミュレーションの実行部とLabVIEWの統合化が課題として残っていました。
ソリューション
1.システム構成

図1システム構成 [LabVIEWにより開発する部分]
LabVIEWを使いシミュレ-ション実行部と計測部を統合することは、次のような効果があります。
1.A/Dボ-ドなどから取り込んだ計測デ-タや、シミュレ-ションによる結果デ-タ処理部を介して同じように扱うことができるので、互いのデ-タの比較検討や差異分析、解析処理、実験レポ-トの作成等が簡単に行えます。
2.解析処理の方法や表示操作などは、同じ手順で操作できるので取り扱いが容易で汎用性があります。
3.仮想試験用モデルの開発は、実機試験の結果と対比しながらモデル検証及び同定を行うことができます。
4.実機で測定が困難な観測値は、同定モデルを介して推定観測値として再現することが可能です。
2.シミュレ-ションで使用するモデルについて
LabVIEWに組み込むシミュレ-ション実行部の開発は、次の点を重視して進めていきました。
1.柔軟性、融通性が高いツ-ルとする。シミュレ-ション実行部(ソルバ-部)はLabVIEWだけでなく他のアプリケーションからも使えるよう柔軟性、融通性の高いものとする。
2.過去のソフトウェア資産を活用する。既にC言語等で開発された機能部品モデル(DLL)も多数あり、これらも継続して活用できるようにする。
3.実機を忠実に再現するモデルを作成する。実機の内部機構と機能・挙動などを一対一で再現できる。
ここで、シミュレ-ションに使用するモデルの説明を簡単にしておきます。(弊社では、このモデルのことを機能モデルと呼んでいます)。
機能モデルは、製品内部の各部品間を縦横無尽に行き来するエネルギ-に着目した部品内部の機能をモデル化する新しい手法です。機能モデルの特徴として、
1.実機の部品・製品の組立・分解と同じように部品モデルの組立・分解ができる。
2.異なる物理単位系(工学分野)を持つ部品を同じ手法でモデル化できる。
3.ブロック線図表現なので直接数学モデルを導くことができる。

図2 機能モデルと各工学分野の関連

図3 ブロック線図と数式
3.ActiveXサ-バ-化
前項でもふれていますが、機能モデルは複数の部品モデルを統合することにより製品モデルを構築していきます。(例.自動車の場合は、エンジン、変速機、タイヤ等の部品モデルを統合することで車両モデルを構築します。)部品モデルはDLLで作っていますのでLabVIEWにモデルを組み込むということはこれらのDLLを組み込むということになります。LabVIEWにはCall Library関数がありDLLの呼び出しについては問題ないと考えていたのですが、部品モデル(DLL)を組み込む時に次のような問題が発生しました。DLLの呼び出しは問題なくできるのですが、文字列配列や構造体といった変数の受け渡しがうまくできませんでした。LabVIEWに合わせてDLLの引数を変更することも考えましたが、それでは同じ部品モデルを複数作らなければならず、開発工数や管理の点であまり良い対策とはいえませんでした。結局、この問題はActiveXサ-バ-をDLLのラッパ-関数として作り、ActiveX経由でDLLをLabVIEWに組み込むことで解決しました。ActiveXを使うことで入出力の問題は無くなり、結果として、複数のアプリケ-ションでモデルを使えるようにするといった目標も実現可能になりました。
4.車両モデルの事例
図4に示す車両モデル(バ-チャルプロトタイプ)は、開発現場の試験規格を適用してシミュレ-ション(仮想試験)を行ったモデルの実用例です。これは、試験車両の仕様に従って機能部品モデルを組み合わせたモデル化の例です。このモデルを利用し、実際に仮想試験を行うには、さらに走行環境のモデル、運転操作を行うドライバ-モデル、エンジンや変速機などを制御するモデル、走行結果を評価するモデルなど、試験条件や試験方法に関するモデルを組み合わせることで実施します。

図4 車両モデル(概要)

図5 車両の前後走行のシミュレ-ション画面
(速度、エンジン回転数、トルク等でデ-タを表示)
終わりに
従来、モデルの開発と同じ位の工数や時間がかかっていた表示解析部がLabVIEWを使うことで開発期間の短縮が図ることができ、モデルの開発により多くの時間を割けるようになりました。又、シミュ-ションの実行・デ-タの集録から結果の表示・解析までを全てLabVIEWで開発することで、一貫性のある表示画面や操作で使えるようになりました。
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