LabVIEWを使用したダイナモメータのリアルタイム制御
Author(s):
Pete Thomopoulos氏 - Lucas Assembly & Test Systems社
Industry:
Automotive
Products:
Data Acquisition, LabVIEW, SCXI
The Challenge:
パソコンを活用したシステムでACダイナモメータをリアルタイムで制御する
The Solution:
NI社のLabVIEW、SCXI信号調節製品とデータ集録ボードを使用してシステムを構成
"ダイナモメータ制御にパソコンを活用したシステムを使用することで、効率、コスト、柔軟性、パソコンへの統合を行うことができます。 "
Lucas Assembly & Test Systems社(米国ミシガン州Livoniaの自動車アプリケーション用テスト機器メーカ)は、エンジンの制御監視用にスタンドアロン型ACダイナモメータ制御システムを開発。このターンキーシステムには、水圧フィクスチャを搭載した最新式ACスピンドルドライブが採用され、低イナーシャ、高速応答、高性能測定を実現。LabVIEWとデータ集録ハードウェアを簡易な工業用パソコンと組み合わせてダイナモメータコントローラを構築し、大幅なコスト削減、プログラミング効率、優れた性能を実現した。
ダイナモメータの基本知識
ダイナモメータとは、回転動作に対抗するよう設計された機械的または電気機械的デバイスで、一般的には回転軸及びはずみ車に取り付けられたポンプや電動モータを指します。主にトルクや速度の測定や、力、動力の決定等を行うため、これらトルクと速度の2つのパラメータの安定が非常に重要になります。自動車産業において、電気モータダイナモメータは、運転状況をシミュレーションし、エンジンパワーと摩擦を求め、耐久性と機能性の監査を行うために使用されます。通常、多重閉ループコントローラーでは、安全性を監視するほか、エンジンスロットル位置、オイルと水の温度、エンジン速度の制御を行います。これらコントローラでは、実際の値と設定値を比較し、この2つの値が一致するように修正を行います。このアプリケーションが実証する通り、今や普通のパソコンでデータ監視やログのほか、こうしたシステムを制御を行えるのです。
ACダイナモメータ制御システム
Lucas Assembly & Test Systems社の電気機械的ダイナモメータと制御システムには、高い精度と連続処理で速度とトルクを制御し、負荷プロファイルの作成を可能にする、超高速で大容量のデータを集録・保管する、手動・自動操作で操作できるようにする、システム動作を監視、表示、ログする等のシステム条件が提示されました。最終的な開発のゴールは、市販のI/Oハードウェアとソフトウェアを使用して、あらゆる機能を単一コンピュータに統合することでした。
システム設計
まずWindows対応のパソコン上で、セットアップ、制御、監視の全てをLabVIEWソフトウェアにより制御する方法を採りました。アナログ・デジタル信号の調節には3BシリーズとSSRシリーズモジュール使用し、ATMIO-64F-5マルチファンクションデータ集録ボードと統合してハードウェアの監視制御を行いました。ダイナモメータの制御監視に加え、シリアルポートを介して燃料測定システムからデータの処理を行いました。
ダイナモメータの監視には、AT-MIO-64F-5と3Bシリーズモジュールを使用しています。ロードセルはダイナモメータのレバーアームに取り付けられ、その出力は3B18ひずみゲージ調整モジュールによって調整されます。その結果、出力はエンジンから発生するトルクに比例する電圧信号となります。エンジン速度の監視は、速度に比例するTTLレベルパルスを3B45モジュールに割り当てることにより行います。3B45モジュールでは、パルスを測定に適した電圧に変換します。このシステムでは、他の多様な電圧レベル(ほどんどがエンジン制御モジュールから直接)の監視も行う。
信号が測定可能なレベルの電圧(0~10V)に変換されると、AT-MIO-64F-5でこれらの信号が測定されます。DMA駆動のデータ集録のため、CPUに負荷をかけることなく、データ集録ボードとパソコン間のデータ転送が効率的に行えます。また、ダブルバッファリングや循環バッファリングを使い、限られたメモリ容量内で連続集録が可能になります。この方法では、割り当てたバッファ末端に達するまでデータを集録し、続いてマザーボードのDMA制御回路でデータ転送がバッファ冒頭に再割り当てられ、古いデータの上書きを行います。このプロセスは、転送ごとのボード初期化が不要な点、CPUのデータ読み込みが即可能な点で効果的である。循環バッファ集録を使用すると、連続データ読み込み、または最新データの読み込みが行えます。このアプリケーションでは最新データのみを必要とし、単にCPUによってRAM内の最新の10ポイントが遅延なくメモリから読み込まれるだけです。
ソフトウェアアーキテクチャ
ソフトウェアは、テスト仕様とI/Oという2 つの部分から構成されています。テスト仕様に対してはエディタを使用して、速度や負荷設定値、時間を入力する。これらの情報はファイルに保管されます。I/Oの部分はマルチタスキングで処理されるため、アプリケーションは集録、制御、GUI更新用の個別のモジュールに分類できます。データ集録モジュールは、他のソフトウェアモジュールすべてに対するデータサーバとして稼動します。このコード部分は繰り返しRAMからDMA転送されたデータを読み込み、スケーリングを行い、グローバル変数に配置します。このため、データは他のどのモジュールからも共通してアクセスできます。
比例微分積分(PID)制御アルゴリズムとアナログ出力を用いる反復的ソフトウェアモジュールを使用して、エンジンスロットルの位置と水温を制御します。集録されたデータはグローバル変数から読み込まれ、PIDにより速度または負荷位置のいずれかと比較されます。そしてPIDの結果はデータ集録ボードによりアナログ信号に出力され、スロットルの位置が直接制御されます。レートは最高40 Hzまで制御できます。
グローバルデータをアクセスするソフトウェアループを用いて、GUIを更新します。1Hzで画面が更新され、エンジン速度、負荷、設定値、馬力やアラーム状態などの計算が表示されます。
システム導入のメリット
新しいダイナモメータと制御システムの開発が完了し、Lucas社では1994年にシステムの出荷を開始しました。このプロジェクトの成功によりLucas社では、現在低コストのダイナモメータのターンキーシステムを顧客に提供している。
ダイナモメータと制御システムの開発は同時に進行したため、非常に効率的であった。ダイナモメータはこれまでにない設計方法であったため、制御監視パラメータの全てを把握していませんでした。ダイナモメータと制御システムは同じエンジニアに作成されたため、新しく発見したパラメータがあれば、容易に追加することができました。パッケージハードウェアとソフトウェアの両方を使える点で、システムのコストパフォーマンスの良さが実証されています。工業用パソコンとデータ集録製品が高価なオーダーメードのパソコンコンポーネンツに取って替わり、WindowsとLabVIEWはリアルタイムOSの独自のプログラミングに取って替わりました。そして、I/O、GUI、セットアップすべてを1台のパソコンに組み込むことを可能にしました。このようなダイナモメータ制御にパソコンを活用したシステムを使用することで、効率、コスト、柔軟性、パソコンへの統合を行うことができます。
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